冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

Entries

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

愛しのサンタクロース 08

 騒音ともとれるほどの賑やかな夜が過ぎた翌日―――…

  「支給額アップ?!!」

 ネスとハクの驚きに満ちた声が早朝のギルドに響いた。
 アデットは二人の大声に右耳を塞いで言う。

  「朝っぱらから、うるせぇよ……皇帝から直々に手紙が回ってきたんだ。
  二枚あるんだが……これだ。」

 アデットは真っ白で端がレースになった綺麗な手紙を一枚、二人の前に差し出す。
 ハクが手紙を受け取り、開いた。そこには流れるような美しい字で綴られる文字が―――…


   ギルドの皆様こんにちわ。今回の費用削減の件、あれ無しね。
   財務担当の馬鹿達に躍らされちゃってさぁ……。
   『極悪非道の殺人集団に出す金はないでしょう?!』とか
   『奴らはこの金で好き放題遊び回ってるんですよ?!』とか言うから、信じちゃった。
   でも、君達はそうじゃないって事を学んだよ。
   ギルドの為に寒い中、頑張って笑顔振り撒く女の子や、
   その子を守る為なら命すら賭けられる男に心を打たれた。

   だから、お詫びも兼ねて今までより支給する額を増やそうと思う。
   あぁ、財務担当なら大丈夫だよ。俺がちゃんと口出し出来ないよう脅しとくからさ。
   ってことで、これからも宜しくねん♪


 その手紙の内容に、ハクとネスは口を揃えて言った。

  『軽ッ……』

 アデットは二人の合唱に苦笑を浮かべ、次は真っ黒な紙を取り出してネスに手渡す。
 ネスは不思議そうな顔をし、首を傾げた。

  「なんだ?これ。」

  「皇帝直々のお手紙二枚目。……お前宛てだ。」

 そう聞いた瞬間、ネスの背筋に悪寒が走る。
 即行で破って暖炉にでもくべてやりたかったが、
 皇帝の手紙ともなると読まないわけにもいかなかった。
 気の進まない表情で、ネスは手紙を開く。


   最愛の人、ネス=シアフォードへ―――…

   君の事、調べさせてもらったよ。何でも、ハク=リンウェイの友人らしいね?
   ハクとネス……あぁ……なんて素敵なコラボなんだ……。
   俺はそこに混ざりたいと切に思うよ。あ、大丈夫、安心して?
   俺は綺麗な男より、男らしい男の方が好きだから、ネス以外の男に浮気なんか―――


   グシャッ


 腕に鳥肌をめいいっぱい立てたネスは手紙を容赦なく握り潰した。

  「アデット……この手紙を燃やせ……灰も残すなよ。」

  「お……おう……」

 ネスは引き攣った表情で殺気を放ち、アデットに手紙を渡す。
 アデットは手紙をライターで少しずつ燃やしながら二人に言った。

  「それにしても、今年初めてギルドでクリスマスパーティーなんざしたが……
  お前ら、楽しんだか?まぁ、あんな賑やかだったのもお嬢ちゃんのおかげだがな。
  やっぱり、女の子が一人でもいると華があっていいな♪」

 そう言うアデットに、ハクとネスは昨日の出来事を思い出し、顔を赤らめる。

  (雰囲気とはいえ……シェリルにキスしちまいそうになったのは
  ……今考えると、かなり恥ずかしいよな……。)

 ネスは赤い顔を右手で覆い、恥ずかしそうに顔を伏せた。
 ハクもアデットから顔を逸らし頭をぼりぼりとかく。

  (……はぁ……流れとはいえ……すげぇ恥ずかしい事しちまったな……
  あいつ、傷ついたりしてなきゃいいんだが……。
  …………あんな可愛い姿見せられたら、我慢なんて出来ねぇっつの……。)

 二人の反応にアデットは少しだけ目を見開き、にやりと笑って見せた。

  「おやおやぁ?その初心な反応……お前ら、お嬢ちゃんとなんかあったな?」

  『!!』

 アデットのからかった様な口調にハクとネスは顔を真っ赤にして言う。

  『なっ……なんもねぇよ!!!』

 綺麗に重なった声に、アデットは苦笑を浮かべた。

  「……分かりやすい奴らだな……お前ら。」

 渇いた笑い声を漏らしたアデットに、ネスが赤くなった顔を手で扇ぎながら聞く。

  「うっせぇ……。ってか、そんなことより、シェリルは?まだ寝てんのか?」

 その言葉を聞いた瞬間、アデットの顔色が変わった。頬に冷や汗を流し、懸命に笑顔を作る。

  「あ……あぁ、寝てんじゃねぇの?……まぁ今日はさッ、お前ら二人で仕事行ってこいよ♪」

 あまりにも不自然なアデットの態度に、ハクは鋭い瞳を向けた。

  「……シェリルは?」

  「だっ……だから寝て……」

  「最後のチャンスだ、アデット。……シェリルは?」

 殺気を秘めた瞳は真剣そのもので、アデットは息を呑み、泣く泣く本当の事を話した。

  「か……風邪で……寝込んでる……」

  『……。』

 訪れる沈黙。アデットは嫌な気をひしひしと感じながら、引き攣り笑いを浮かべた。

  「ほ、ほら……寝てるだろ……?」

  「ハク……」

  「あぁ、ネス。どうやらこいつにはお仕置きが必要なようだ。」

  「え……?まっ……待て!!話せば分か―――…」

 言いかけた瞬間、アデットの言葉が途切れ、
 ギルドにはまるで獣の断末魔の様な叫び声が響いた。



 一方その頃、シェリルは―――…

  「ハクぅ……ネスぅ……だぁいすきぃ……むにゃむにゃ……」

 温かいベッドの中、氷枕に頭を預け、
 アデットの放つ悲鳴にも負けず、気持ち良さそうに眠っていた―――…



                                             - 完 -



  + 前へ

スポンサーサイト

*Comment

NoTitle 

まて、話せば分かる!

いぬかいつよしー!が思い浮かんでしまいました。

クリスマススペシャル、クリスマスまで後二日あるのに(笑

とふと思ってしまいました、すいませんw

P,S

24話できましたーよんでくださるとうれしいです(催促
  • posted by ネミエル 
  • URL 
  • 2009.12/22 23:24分 
  • [Edit]

Comment_form

管理者のみ表示。 | 非公開コメント投稿可能です。

左サイドMenu

プロフィール

筱

Author:筱
初めまして。
管理人の筱 - シノ - と申します。

現在

『Battle Mermaid』

を綴っています。

どうぞ、
仲良くしてやって下さい!

BlogRanking
↑もし宜しければ、
ひと押しお願いします。

最新記事

最新トラックバック

月別アーカイブ

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。