冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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愛しのサンタクロース 07

 凍える寒さの気を紛らわそうと満天の星空を仰ぎ、両手に息を吹きかける。
 がさごそと隣で紙袋の音を鳴らすハクを耳にし、
 クッキーを食べてもらえている事に至福を覚えた。不意に―――…

  「くちゅんっ…………ぇ?」

 小さくくしゃみをした瞬間、シェリルの首に何やら温かい物が触れる。
 慌ててハクの方を見ると、シェリルとは視線を合わさず、ただ茶色のふかふかとした、
 とても温かいマフラーをシェリルの首へと巻いている姿が目に映った。

  「は……はく……?」

 突然の出来事に、シェリルは目を見開いてハクを見やる。

  「……戻って来た時には、メンバー集め……終わってたからな。
  渡さず捨ててもよかったが……まぁ、一応……。」

 マフラーを巻き終えそれだけ言うと、ふいっとそっぽを向き、再びクッキーをかじり始めた。
 シェリルの首元はみるみる間に温もりを帯びていく。

  「ハク……私の為に……?」

  「…………馬鹿かお前……。お前以外誰に買うんだよ、こんなの……。
  ……寒そうにしてたじゃねぇか……。」

 昼、くしゃみをし続けるシェリルを見、ハクはマフラーを買いに出掛けていたのだ。
 そんなハクの優しさに、シェリルは心が温かくなっていくのを感じ取る事が出来た。
 その喜びが思わず口から漏れる。

  「ど、どうしよう……凄く嬉しいッ……」

  「……そりゃ……よかったな……」

 相変わらずのハクの声。だが、今は何処か恥ずかしそうでもあった。
 シェリルはハクに貰ったマフラーに嬉しそうに顔を埋める。
 そんなシェリルを視界に入れ、ハクはつっけんどんに聞いた。

  「お前、いつまでその服着てんの?」

  「え……あ、これはアデットさんが今日一日着ててくれって。」

  「……見てるこっちが寒いんだが。」

  「あっ!ご、ごめんッ!!んじゃ、私戻るよ……ッ」

 シェリルは慌てて立ち上がり、その場を去ろうとする。
 だが―――…

  「きゃっ!?」

 右手を思い切り引かれ、シェリルはハクの太ももへと吸い込まれて行った。
 ハクはシェリルをしっかりと抱きとめて言う。

  「ここにいるって言ったのはお前だろう?」

  「へっ……!?えっ……?!」

  「……ここならあったけぇだろ。」

 そう言いながら、シェリルを優しく抱きしめるハク。
 シェリルは弾け飛びそうな心臓を必死で押さえていた。

  「あのっ……す、凄く……恥ずかしいです……。」

 顔を真っ赤にしながら言うシェリルに、ハクは意地悪そうな笑みを浮かべた。

  「なんなら、もっと恥ずかしい事でもしてやろうか?」

  「ほぇ……?」

 シェリルが首を傾げたその瞬間―――…

  「!!?」

 シェリルの唇に温かい物が触れた。
 大きく開いた目の前には、ハクの美麗な顔がある。優しい口付けだった。
 シェリルの唇から自分の唇を離し、ハクはシェリルの頬に右手を当てて言う。

  「……そんな格好してるお前が悪い。」

  「ぁ、あう……?はわゎゎっ……」

  「危機感が無さ過ぎる。……俺だって男なんだからな……?分かってんのか?」

  「は……はぃ……」

 顔を真っ赤にするシェリルは、恥ずかしさのあまりハクの腕から逃れようと力を込める。
 だが、シェリルの力ではハクに敵うわけもなく、びくとも動けなかった。
 ハクは意地悪な笑みを浮かべ、シェリルに言う。

  「何逃げようとしてんだよ。離してやるわけねぇだろ。」

  「は……恥ずかしいです……」

  「んなの知るか。お前に拒否権はない。……俺のしたいようにする。」

  「ふぇッ―――…んッ」

 再び降り注ぐハクの唇に、シェリルは思わず目を瞑った。
 二度、三度と口付けを交わし、ハクはシェリルの耳元で呟く。

  「…………クッキー美味かった……その……ありがとう……。」

 不器用な礼の言葉に、シェリルの心臓はさらに高鳴り、真っ赤な顔は限界寸前だった。
 恥ずかしそうに顔を両手で隠し、その礼に答える。

  「は、は……ぃ……って、ハク……いつもとなんか……違う……どうしたの……?」

  「…………サンタクロースがこんなくそ寒い中プレゼント持って来たんだ。
  ……礼は必要だろうが。」

 真っ赤な顔を隠すシェリルの両手を退かし、硬直するシェリルにハクは微笑を向ける。
 そしてもう一度、シェリルへ口付けしようとした瞬間、ハクの動きが止まった。
 今までの優しげな顔から一転、不機嫌そうな顔を全面に押し出し、小さく舌打ちをする。

  「ちっ……邪魔しやがって……」

  「え……?」

 ハクはゆっくりとシェリルを離し、煉瓦へ座らせる。その瞬間、聞き慣れた声が聞こえた。

  「おぉ、お嬢ちゃん!ここだったか!!」

 アデットが笑顔を浮かべ二人に駆け寄る。

  「お嬢ちゃん、皆がお嬢ちゃんは何処だって騒ぎ立てやがるんだ。
  戻ってやってくんねぇかなぁ……?」

 申し訳なさそうなアデットにシェリルはハクと一緒にいたい気持ちを抑えて言う。

  「分かりました。……ハクは……?」

  「……。」

 シェリルはちらりとハクを視界に入れて言う。が、返答は得られなかった。
 シェリルは苦笑を浮かべる。

  「あ……五月蝿いのが駄目だったよね。……ごめん。」

 先程の事が夢であったのではと勘違いするほどのハクの態度の変わり様に、
 シェリルはどこと無く寂しげな笑いを浮かべていた。
 そんなシェリルを見、ハクはゆっくり立ち上がる。

  「……寒くなった。入る。」

  「!」

 ぶっきらぼうにそう言うと、ハクはシェリルを置き、さっさとギルドに戻って行った。
 思わぬ優しさに、シェリルの鼓動はおさまる事を知らず、激しく高鳴るばかりである。

  「なんだ、あいつ……顔真っ赤だったぞ?……何かあったのか?」

  「い……いえ……」

 ハクも恥ずかしかったのだと知ると、シェリルは幸福な気持ちに包まれていくのを感じた。

  (ハク……大好き……ッ)

 貰ったマフラーを嬉しそうに掴み、シェリルはアデット共にギルドへと戻って行った―――…


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*Comment

 

あぁー!

ネスがぁ!

シェリルの純白がぁぁぁあ!

ネス!

どんまい!
  • posted by ねみえる 
  • URL 
  • 2009.12/20 22:56分 
  • [Edit]

ネミエル様へ 

いらっしゃいませ!

こんばんわッ!
あ~……やっちゃいましたね……ッ!
ネスが限りなく可哀想です。
いたたまれなさ過ぎて逆に笑えてきてしまいます。(ぇ?

次、またイベントごとする時には、
ネスにいい思いさせてやりたいなぁなんて考えてますよ(*´д`)
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.12/21 19:03分 
  • [Edit]

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