冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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愛しのサンタクロース 02

 アデットが切れた電話から2時間後、12時丁度に、ギルドの扉が開き二人の男が入ってきた。
 黒い短髪に金色の瞳を持つ精悍な顔立ちをした体格のよい男と、
 白銀の長い髪を適当に下の方で結わえ、深海の様に深い青色を持つ美麗な顔立ちをした男が、
 寒さに身を凍えさせながら文句を言い合っている。
 そんな二人に、アデットは苦笑を浮かべながら言った。

  「おかえり、ハク、ネス。」

 その言葉に先に反応したのはネスだった。

  「ただいま、アデット。ってか、聞いてくれよ。
  ハクの野郎、今日はクリスマスだってのに夢も希望もない事―――…」

 そこまで言ってネスは口をつぐむ。
 何処となくギルドの雰囲気が違う事を感じ取り、首を傾げた。
 ハクもいつもより温かい雰囲気に首を傾げる。
 アデットは気付いたかとばかりに、楽しそうに笑った。

  「ほら、あそこに小さなクリスマスツリー。ほら、あそこにサンタの置物。
  トナカイのぬいぐるみがそこに。」

 アデットの指差す方向には、可愛らしい小物が置かれ、むさ苦しいギルドを彩っていた。
 ネスは少しだけ考え、あぁと小さな声を上げる。

  「シェリルか。」

  「正解。クリスマスパーティーでもするかって言ったら、めっちゃ喜んでな。
  ついでに飾り付けまでやっちまった。
  ……男ばっかの時はこんな事ぜってぇなかったから、ちと楽しいぜ。」

  「あはは、シェリルらしいな。」

 楽しそうに笑ったネスにアデットも少しだけ笑う。
 だが、次の瞬間その表情は曇り、深刻な声で話し始めた。

  「だがなぁ……今年もいいクリスマスの前に、最大の敵が来た。」

 溜息交じりに放たれた言葉。その言葉に反応を返したのはハクだった。

  「敵……?まさか、毎年12月25日恒例の……か?」

  「あぁ、そうだよ。皇国『リムドア』ギルド、費用削減計画だ。
  さっき皇宮の方から連絡があってな。支給額をごっそり減らすと宣言してきやがった。
  あれじゃここの男共の飯代が足りねぇ……今でもたまに俺の自費から出してんのに、
  これ以上減らされたら真面目にやっていけねぇよ……。」

 悔しそうなアデットの顔に、ハクは不機嫌全開の表情を浮かべて言った。

  「毎年毎年、よくも飽きねぇな。
  その都度俺に脅されて結局金額変更なしじゃねぇか。
  安心しろ、今回も気絶寸前まで脅してくる。」

  「そんな顔すんなよアデット。今回は俺もいるし、きっちりかっきり金出させてくるぜ?」

 いつもと同じ無表情なハクと、にっかりと笑うネスの優しさに、
 アデットは小さく感動しながらも、小さく左右に首を振った。

  「いつもは財務担当の奴の傲慢で、脅せば中止させられる事が出来たが……
  今回はそうはいかねぇ……。何てったって皇帝自ら許可しやがったんだ。
  今まで通り財務担当を脅しにかかれば、それは反逆罪。皇帝に逆らったとされる。
  脅せねぇんだよ……。お前らが反逆者になるのは嫌だからな。」

 再び溜息交じりに言った言葉に、ハクが大きく反応を返した。

  「皇帝……?いい度胸じゃねぇか。皇帝も脅しゃあ少しは賢くなるんじゃねぇの?
  なんなら二度とギルドに口出し出来ねぇ様に、恐怖を叩き込んでこようか。」

 苛立った表情を浮かべるハクに、アデットは首を左右に振って応える。

  「ハク……お前本当に過激派だな……。駄目だぞ……お前らが反逆者なんて、絶対に駄目。
  安心しろ、手立てがないわけじゃねぇ。皇帝が条件を付けてきたんだ。
  …………50人。50人新規冒険者を集める事が出来たら、この費用カットの話は無しだと。」

 その言葉に反応したのはネスだった。

  「このご時世に50人?……いつまでだ?」

  「今日。日付が変わるまで。」

  「はぁ!?無理に決まってんだろ!!一日で50人新規で雇えるわけねぇだろうが!!
  ただでさえ、最近の奴らは死にまくって恐怖感抱いてるっつーのに……ッ。」

 真っ向から反論したネスに、同意とばかりにハクも頷く。
 アデットはストレスで痛む頭を押さえながら、それでも楽しそうに言った。

  「まぁあいつらの考えそうな事ではあるわな。
  最近は色んな武器開発に力入れてるみてぇだから、金が足りねぇんだろ……。
  だが、俺にとってギルドの野郎共は可愛くねぇ子供みてぇなもんだ。
  こいつらの世話は俺の仕事……だから、最終手段に出た。」

 アデットの言葉に、ハクとネスは小さく首を傾げる。
 と、その瞬間奥の通路から、聞き慣れた綺麗な声が聞こえてきた。

  「アデットさん、こんな感じでいいですか?」

 ハクとネスは声の聞こえた方を見やる。
 そこには、何とも可愛らしいサンタクロースが立っていた。

 真っ赤な上下の洋服に帽子、真っ赤なブーツ。
 白のふわふわとした毛が愛らしさを際立たせる。
 だが、この服は幾分露出が激しかった。

  「アデットさん……これ、スカート短くないですか……?
  か……肩も出てるんですが……服落ちちゃわないか心配です。」

 スカートはぎりぎりまで短くさせられ、両肩は露出し、深い谷間が見える。
 その光景に真っ先に抗議したのはネスだった。

  「ア……アデット!!!お前、シェリルになんつー格好させてんだよ!!?
  シェリル!!即行で着替えて来い!!!」

 男達の視線を浴びるシェリルをその腕に隠しながら、ネスが顔を赤らめて言う。
 ハクもシェリルを直視する事が出来ず、視線を逸らしていた。
 だが、アデットだけは楽しそうに笑って言う。

  「お~、可愛いな。流石お嬢ちゃんだ。
  露出が激しいのはすまねぇ。それしか用意出来なかったんだ。
  って、ネス。自分の服を着させようとするな。お嬢ちゃんには仕事があるんだ。」

  「はぁ!?仕事だぁ!?
  アホ言え、この格好じゃ良からぬ男共の餌食になるに決まってんだろうが!!」

  「五月蠅い五月蠅い。
  お前らの食料を確保する為にお嬢ちゃんが自ら頑張るって言ってくれたんだよ。
  さ、お嬢ちゃん、これが受付用紙な。50人だが……大丈夫か?
  寒くなったらギルドに入って休憩取りながらやっていいからな?」

 アデットの優しい笑顔にシェリルは満面の笑顔を向けて頷く。

  「はいっ、少しでもお力になれる様、頑張りたいと思いますッ!」

 シェリルは受付用紙を受け取り、小さなテーブルを持ち、小走りで外へ出て行った。
 その様子に、ハクはアデットに聞く。

  「本気であれで50人集められると思ってんのか……?」

  「あぁ。思ってる。野郎共は可愛い女の子に弱いからな。
  考えても見ろよ、あの格好をしたお嬢ちゃんから、ギルド入って?ってねだられるんだぜ?
  確実にノックダウンだろ。な?ネス。」

  「……何で俺に話を振るのか分からねぇが……まぁ、頷きたくはなるわな。
  けど、あの露出の高さは……もし変な男に絡まれたらどうすんだよ。」

  「お前らが守ってやりゃあいい。」

  「結局そうなんのかよ……。」

 結局、ハクとネスは深い溜息を吐き、シェリルを『良からぬ男共』の魔の手から守る為、
 雪の降る外へと再び出て行く事となった―――…


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*Comment

NoTitle 

費用削減?!
食いっぷりのいいネスのご飯の危機じゃないですか?!(ぇ
そのために立ち上がったのは、
どんな男も青架(?!)もイチコロな最終兵器・サンタシェリル★

鼻血ものですよ!!
アデットさんナイスです♪
ハク・ネスよ、良からぬ男の魔の手から、護るのだww

サンタシェリルなら、男共50人、なんてことないですよ!!
  • posted by 燈 青架 
  • URL 
  • 2009.12/14 23:17分 
  • [Edit]

NoTitle 

ふっ。

そうぞうして鼻血でそうになったんだぜ。

篠さん~

つぼ押さえすぎ☆
  • posted by ネミエル 
  • URL 
  • 2009.12/15 00:42分 
  • [Edit]

NoTitle 

こんにちは!
コメントありがとうございます♪

アリスは、ご察しの通りツンデレを目指してます。
わたしもいつか彼女のデレを書きたいです!

エドガーに最高だなんて、ありがとうございます!
ここのままだと「不憫くん」なのに、そのような評価をいただけて嬉しいです!(よかったな!エド!)

では!
  • posted by 秋野白亜 
  • URL 
  • 2009.12/15 18:13分 
  • [Edit]

燈様へ 

いらっしゃいませ!

こんばんわッ!
そうなんですよ~……ネスの……ネスの食費が……ッ!!
食費の為なら皇宮の人限定で殺しすら軽くやってのけてくれそうです(笑)
飢え死にするだろうがボケがぁぁぁあああああっ!!!!!
って言って(*´д`)b
ハクもアデットの料理がさりげなく好きなので、食費削減を阻止すべく、
毎年毎年脅しに行っていた様です★

最終兵器・サンタシェリルは本当に最強ですよ……。
私も想像して非常に萌え死にました。……作者なのに……(泣)
ハクとネスの二人が護衛としてつきましたが、
シェリルのサンタ衣装に惹かれてくるであろう男どもを殺してしまわないか心配です……。
そうなったら……そうなったときですよね!!!!
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.12/15 18:52分 
  • [Edit]

ネミエル様へ 

いらっしゃいませ!

こんばんわッ!
ツボ押さえられてますかね!?
そう言って頂けると嬉しいです~ッ(*´д`*)

私もシェリルのサンタ服を妄想して、
可愛らしさのあまり卒倒してしまいそうでした☆
自キャラ萌えだなんて……!!
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.12/15 19:00分 
  • [Edit]

白亜様へ 

いらっしゃいませ!

こんばんわッ!
や、やはりアリスはツンデレが目標なのですね!!
これは物凄く興味が……ッ!!ツンデレ女子……期待してます(*´д`)
あぁ……エドガーが可哀想な事になるんだ……!
絶対切ない目にあうんだ……!た、楽しみ……!!(ォィ?
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.12/15 19:02分 
  • [Edit]

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