冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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Battle Mermaid 14

  『応答しろ!メディッ!!
  生きてるか?!くそっ……メディッ!メディアーザ!!』

 受話器からアデットが放つ必死な声が聞こえる。
 だが、その声に答えられるほどの余裕などメディアーザにあるわけもなく、
 ただ眼下に広がる血塗れの光景に絶句していた。

 ―――…血に塗れているのはフィオラだけではなかったのだ。

  「フィオラ……シーファ……アンナ……ユアン……マヒロ……
  み、んな……が……うそ……なんで……?」

 視点を定めることが出来ず、メディアーザは呆然とし、
 血塗れになっている仲間の名前をうわごとの様に呟く。
 立っているのは、メディアーザただ一人だった。

  「なんで?って、何が?あぁ、竜巻からどうやって逃げ出したかってこと?」

 頷きもしていないのに、ティスタは楽しそうに語る。

  「簡単だよ。短刀をフィオラに投げ付けただけ。
  彼女、怒りに狂ってると冷静さをかき、我を失うらしいね。
  魔法の使い方も荒くなるらしいじゃん。
  ……フィオラが一番怖かったけど、最初に仲間殺して正解だったかな?
  ふふ、簡単だったな♪」

  「あ……貴方、何でそのことを……?」

  「……さぁ?なんでだろ~ね♪」

 この血に塗れた場に相応しくない可愛らしい笑顔を浮かべるティスタを睨み付け、
 メディアーザは凜とした声で言った。

  「貴方なんかにギルドを潰させやしないわ……ッ他にも魔国の冒険者はいる!
  それに、皇国ギルドだって動き出すんだから!!」

 必死ともとれる虚勢に、ティスタは楽しそうに言い返す。

  「あはは♪無理だよ。皇国ギルドも潰れちゃうんだもん。
  皇帝が魔国の為に動くわけないし……ざぁんねぇんでぇしたッ♪
  さて、そろそろ死のうか、お姉さん。
  僕、お腹空いてきちゃったから、ご飯食べに行きたいんだ。」

  「……ッ」

  『メディ!おいッ、メディ!!』

 必死に叫ぶアデットの声に、ティスタはにんまりと笑顔を浮かべながら言った。

  「お姉さん、アデットさんに一言言うくらいなら待ってあげるよ?
  アデットさんにはお世話になったからね。」

 メディアーザはティスタから目を逸らし、アデットの声が聞こえる受話器へ目をやる。
 そしてゆっくりと、声を震わせながら言葉を紡いだ。

  「アデットさん……」

  『メディ!無事だったか……ビビらせんなよ……。
  大丈夫か?ティスタはどうだ?逃げたのか?』

 矢継ぎ早に問うアデットの言葉を全て無視し、メディアーザは涙を零しながら言う。

  「もう……駄目みたい……。
  さようなら……アデットさん……皇国は……無事でありますように……。」

  『メディ―――…?』

   ザンッ

 血が舞う。
 まるで花びらの様に。

 生暖かい熱を帯びた血を全身に浴びながら、ティスタは短刀を腰になおした。
 顔にこびりついた血を拭い、先程の楽しそうな顔とはうって変わって、
 暗く、切ない表情を浮かべていた。
 自分の殺した魔法使い達を見ながら、ぽつりと呟くように言う。

  「……酷い事して……ほんとに……ごめんなさい。」

 電話から聞こえるアデットの声を聞きながら、ティスタは受話器を掛けた。
 魔国『ユグドラ』ギルドに静寂が訪れる。

  「……さて、ご飯食べに行こっと♪」

 どこと無く切なげな笑顔を浮かべながら、ティスタは血の海となったギルドを後にした―――…



 血の海となったギルドに、ごそごそと動く影があった。

  「っ……」

 右肩から大量の血を流し、激痛に耐えながら起き上がったのはフィオラだった。

  「っ……痛いなぁもぅ……メディアーザさん、シーファ、だいじょ―――…」

 痛む肩を押さえ顔を上げた瞬間、フィオラは絶句した。
 視界に飛び込んできたのは真っ赤に染まった店内。
 人一人動いてはいなかった。

  「う……そ……全滅……?
  そんな……ッメディアーザさ……あ……シーファまで……?
  あ……ぁぁ……いやぁぁぁあああああああああぁあああッ!!!!!

 現実をたたき付けられたフィオラは、血塗れになったメディアーザの死体を抱き、
 狂ったかの様に叫んだ。ただ、ひたすらに―――…


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*Comment

NoTitle 

 あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!
 メディアーナが殺されてしまいましたよぉ。
 やっぱりティスタは、残酷な子です。
 私だったら、そんな光景見てご飯たべられません…
 
  • posted by 蘭陵邑 
  • URL 
  • 2009.12/17 23:20分 
  • [Edit]

蘭陵邑様へ 

いらっしゃいませ!

こんばんわッ!
メディアーザさん、殺されましたよ……。
こういうシーンは書いてて凄く痛いです……。
ティスタは残酷な子ですが、生前は凄く優しい子だったんですよ~……!
彼は彼なりに多分色々考えてるんですが、
空腹には耐えられなかったようです(笑)
私も、あんな光景見せられたらご飯食べれません(*´д`)
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.12/18 06:48分 
  • [Edit]

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