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冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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Battle Mermaid 01

- 第二章 : 鎮魂歌では眠れない -



 初めて興味を持ったのは『鮫』
 鋭い牙に、敵無しとばかりに悠々と泳ぐ様には、感動すら覚えた。

 次に興味を持ったのは『鯨』
 巨大な体で大海を悠然と舞う心優しい生き物に、綺麗な青色の瞳は釘付けになった。

 次に興味を持ったのは『太陽』
 青い海をオレンジ色の光で温かく染める遠い存在に、訳も分からず涙したことがあった。

 次に興味を持ったのは『船』
 巨大な鉄の固まりが浮くという事に、衝撃を受けた。

 次に興味を持ったのは『人』
 魔力も持たず、海に潜り込む事も出来ない存在。
 けれども船を開発し、海を渡れる様になった進化と進歩の種族に驚きを覚えた。

 最後に興味を持ったのは『外界』
 海から少し顔を出せば覗ける、海とは全く異なる世界。人や精霊、小人が生きている世界。
 自分の知らぬ土地に興味を示すのは、よもや必然だった。


 シェリルは誰より興味を示した。
 だが、何も望まなかった。

 得る必要はない。ただ見ていられれば、それでいい……と。


 だが―――…
 一人の男がそれを変えた……


 シェリルは望んだ。
 この男の役に立ちたいのだと。


  ―――――――


 皇国『リムドア』ギルドの朝。
 朝と夜は特に冷え込むこの季節、
 ギルド内には小さなストーブが隅っこの方に置かれているだけだった。
 だが、ギルド内に溢れ返る男達の熱気のせいか、室内はとても暖かく、
 寒さなど微塵も感じられない。

 そんな中―――…

  「お……終わりました……。」

 シェリルは遠慮がちに口を開いた。
 三人が座れるくらいの小さなテーブルに散乱するトランプをハクとネスは目を丸くして見やる。
 二人の視線はトランプからシェリルへと映った。

  「またこいつの勝ちかよ……なんだ、この強運は……。」

 ハクがげんなりした表情でそう言う。ネスもハクに同意するかの様に苦笑を浮かべた。

  「ばばぬきで12連敗は初めてだわ……。いつも勝ち続けてたんだがなぁ……。」

  「そういや、ネスはカードゲームいつもトップだったよな。
  頭使わなくて運のみのやつだけは。」

  「人を馬鹿みたいに言うなや。でもまぁ、確かに頭使うのは苦手だな。
  そういうのはハクの担当だろ?」

  「まぁな。……でも、ネスの強運も、こいつの前じゃ霞むな……。」

  「……だな。」

 申し訳なさそうに首をすぼめるシェリルに、ネスは手持ちのカードを置いて言う。

  「シェリルが12連勝で1位、俺が2位、ハクがドベ。って事で、朝食はハクの支払いな。」

  「っち……分かったよ。好きなの選べ。」

 深く溜息を吐き、面倒臭そうに言うハクの言葉に甘え、ネスはシェリルにメニュー表を差し出す。

  「さっ、シェリル、好きなの頼みな♪」

  「え……本当にいいんですか……?私、少しくらい食べなくても平気ですよ……?」

  「大丈夫、大丈夫、ハクは金持ちだから。それに空腹は美容の天敵だぞ?ほら、好きなの頼め。」

 シェリルはネスとハクを交互に見た後、メニュー表へ視線を落とし、おずおずと指をさす。

  「じゃあ……これ。」

 シェリルの選んだメニューは……

   【海藻サラダ……100G】

 だった。ネスはどう反応していいのか分からず言葉を濁し、ハクは呆れた様に言う。

  「お前……俺に遠慮でもしてんの?」

  「え……?いいえ?」

 きょとんとした顔をハクへと向ける。
 ハクは可哀想な子でも見るかのような視線をシェリルへと送った。

  「……毎日そんな貧相もん食ってたのか……?……もっと選んで構わねぇよ。食えるだけ頼みな。」

 余りにも貧困な食事に見兼ねたハクはシェリルにそう言う。
 だが、その言葉に反応したのはシェリルではなくネスだった。

  「マジで?やりぃ、何にしよっかなぁ~♪」

  「てめぇは自重しやがれ。」

  「うわっ、男女差別!!」

  「お前が言うな。
  ってか、お前の食う量半端じゃねぇんだよ。好きなの好きなだけ選ばしてたら破産するっつの。」

 まるで悪夢でも思い返すかの様なハクの表情に、ネスはにっこり笑顔を作った。

  「成長期だからな。」

  「23にもなって成長されてたまるか……。食い過ぎると横に成長するぞ。」

  「うわっひでぇ!!」

 ぎゃいぎゃいと騒ぎ立てる二人の会話が可笑しく、シェリルはばれない様に下を向き、小さく笑う。
 だが……

  「なぁに笑ってんだよ。」

  「もしかして、横に成長する俺でも想像した?シェリルも酷いなぁ……。」

 ばれていた。
 シェリルは慌てて顔を上げ、訂正する。

  「ごっ、ごめんなさい!そんなつもりじゃ……」

  「……ぷっ、シェリル必死過ぎ。冗談だよ、冗談ッ。本当にそれだけでいいのか?」

 ネスの楽しそうな言葉に、シェリルは少し顔を赤くし、小さく頷く。

  「はい。あまり食べない方なので。あ、ご飯と一緒に、お水もらってもいいですか?」

  「あいよ。んじゃ、アデットに頼みに行ってくるわ。ほらハク、行くぞ。」

  「あぁ。……なぁ、お前さ。」

 ネスに促され立ち上がったハクは、じっとりとシェリルを見やる。
 シェリルはまた怒られる様な事を言ってしまったのかと、体を縮こまらせた。
 だが、ハクは特に怒った様子もなく、淡々と言う。

  「敬語、止めろよ。仲間なんだろ?俺のこともハクでいい。
  ……なんつーか……その喋り方、居心地が悪い。」

 ハクの言葉に、シェリルは慌てて謝罪し言う。

  「ハ……ハク……。」

  「ん?」

  「………………ぁ、すみま……ごめん、呼んでみただけで―――…呼んでみただけ。」

  「……喧嘩売ってんのか?」

  「ごめんなさい……。」

 二人のやり取りをネスはにやにやとした表情で見守る。
 その視線に気付いたハクはネスを睨みつけて言った。

  「なんだよ。」

  「べっつにぃ?」

  「……ちッ……にやにやしやがって……。」

  「ハクが面白いから仕方ない。さ、行くぞ。」

  「……。」

 二人は自分とシェリルの朝食を取りに行くべく、アデットの元へと向かった。


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*Comment

NoTitle 

二章始動だああああああああああああああああ!!(><

ネス、君の気持ちはよく分かるよ・・・
私もニヤニヤが止まらないのですからぁああああ(〃▽〃人

トランプ強すぎです、シェリルちゃん
ビックリしました~。さすがどんな状況でも切り抜けられたお方ですね!!
 
ハクが優しさにグッときました~
三人のやり取り楽しすぎです^^
朝食でサラダだけかぁ・・・・・・
育ち盛りの私には耐えられませんww
  • posted by 燈 青架 
  • URL 
  • 2009.12/04 22:39分 
  • [Edit]

燈様へ 

いらっしゃいませ!

こんにちわっ!
やっと二章始動してくれましたよ―――ッ!!長かった!!
まぁ二章はもっと長くなりそうなんですけど……(汗)

ネスは地味に優しいハクの姿に笑いが止まらないのでしょう(笑)
いつもツンツンしてる奴が地味にやさし~くなったら、思わずニヤってしちゃいますよね(´∀`)

シェリルは強運ですよ~♪
燈様のおっしゃられる通り、今まで持前の魔力と、運で乗り切った子ですからね!!
……よく今まで死ななかったね……シェリル……。

ハクは優しさを見せても、口が悪ぶってるので、
ツンデレに拍車がかかりまくりです(笑)

ネスがボケ、ハクがツッコミ、シェリルは観客でしょうか(笑)
あ、いや、天然ボケかもしれない☆
ツッコミがやたらと激しそうですが、何とか成り立ってるようです(´゚∀゚)
シェリルは魚も肉も食べれるのですが、苦手意識があるようです。
なので、海藻サラダです(笑)
ハクの憐れんだ目が簡単に想像できて、ちょっと書いていて切なかったです(´っ∀・`)
私も朝食サラダだけなんて耐えれません。絶対(笑)
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.12/05 10:37分 
  • [Edit]

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