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冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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Battle Mermaid 39

  「え~っと……こっち……かなぁ……?」

 シェリルは二つに分かれた道の前で地図を広げ、小さく首を傾げていた。

  「ぁぅぅ……地図の見方が分からないよぉ……。」

 地図を貰いはしたものの、肝心の読解力がなく、シェリルは呆然と立ち竦んでいた。
 左は綺麗に舗装された道。右は土がむき出しになった荒れた道だった。

  (えっと……確かネスは女が歩くには~って言ってたから……右……かなぁ……?)

 シェリルは左右の道を交互に見比べながら、荒れた右の道へと進んで行った―――…



 シェリルが荒れた道を進んでいる頃、
 ネスはハールウェンの森東の入口へと到着した。
 薄暗い森が静けさを生み、ネスの五感を高めさせる。

  (さぁ、何処だハク……何処から入った?どの道を辿った……?
  正規ルートしか知らないあいつの事だ……南側からしか入れねぇか……。
  ……もし奥にいるんだったら直接向かった方が早いが―――…
  どっちに居るんだハク……入口か奥か……)

 悩みに悩んだネスは、しばらくどちらに進むでもなく真っ直ぐ歩き始める。

  (くそっ……何か手掛かりでもあれば―――…ん?)

 不意に、ネスは何かの足跡を見付ける。
 湿気を帯び、ぬかるんだ地面が人間の物であろう足跡を映し出していた。

  (足跡……まだ新しいな……奥に向かって―――…帰って来た……?)

 向きの違う足跡を確認し、ネスはにんまりと笑う。

  「入口か。」

 ハクの物だという確証はない。
 だが、こんな森の中に向かい来る人間などほとんどいないことを考えると、
 ハクの物であるという確率は高かった。
 ネスは足跡を追い、南の入口を目指した―――…



 シェリルは完全に迷子だった。
 いけどもいけども岸壁ばかり。次第に辺りは木々に包まれ、薄暗くなっていく。

  「あぅぅ……何処だろうここ……。」

 聞き慣れない獣の声におどおどしながらも、岩場を登り、ぬかるむ地面を確実に進んで行く。

  (ネス……ハクさん……もう合流してるのかな……?
  むぅ……早く追いつかなきゃ。……もうギルドに戻ってたりとかは……しないよね……?)

 不安に駆られながらも、シェリルは道なき道を歩き続けた―――…



 ネスが入口へ向かい、シェリルが迷子になっている頃、ハクは激戦を繰り広げていた。
 体に幾多の傷を負い、それでも大地に伏す事無く剣を握り戦う。
 辺りには炭と化したアンデッドの群れがごろごろと転がっていた。

  「くそっ……何匹いんだよ……ッ!」

 この森の全アンデッドが集結していると言っても過言ではない量に、
 流石のハクも体力の限界を感じ始めていた。

  (出口を完全に塞いでやがる……。頭良すぎるのも考えもんだぜ……。)

 小さく舌打ちするハクを前に、喋るアンデッドは楽しそうに肉を滴らせ、笑いながら向って来る。
 その気持ちの悪い笑顔に、ハクは軽い吐き気すら覚えた。

  (くっ……数に加えて能力の高いアンデッドがいたとなりゃ、不利過ぎるだろ……。
  こいつら、完全に俺を殺す気でいやがる……。
  こんな中で死ぬなんて、まっぴらだっつの……。)

 迫り来る攻撃を紺の剣でいなし、隙あらば朱の剣で燃やす。
 だが、人間たるもの体力は無限ではなく、ハクの表情に疲労の色が見え始めた。

  (はぁ……はぁ……やべぇ……こりゃマジで死にそうだ……。)

 息切れするハクに情けなどかける訳もなく、
 アンデッド達は鋭い爪を振り下ろし、鋭い牙で襲いかかる。
 何とかいなしていくものの、ぬかるんだ大地に足を取られ、ハクの体がよろけた。
 その瞬間―――…

  ドスッ

 鈍い音を立て、ハクの腹部を灰色の腕が貫通する。
 ハクは自分の腹部を貫通した灰色の腕を見ながら苦笑を浮かべた。

  「……あ~ぁ……この状況でこれは……致命傷だろ……。」

 そう言って振り向き様に朱の剣を振り、自分を射抜いたアンデッドを焼き殺した。
 腕の抜けた腹部からは鮮血が溢れ、大地に染み込んでいく。

  (アンデッドドラゴンに辿り着く前にあの世逝きかよ……冗談きついぜ……。)

 乾いた笑いを浮かべながら、ハクは最後の力を振り絞り、剣を構える。
 その瞬間、半ば諦めた表情をするハクの耳に、懐かしい声が聞こえてきた。


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