冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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Battle Mermaid 34

  「いい加減にするのは貴方の方です!!!!!!」

 そう大声で言い放ち、ネスとディードリッヒの耳に大ダメージを与えたのはシェリルだった。
 突進を止め、キンキンする耳を押さえるディードリッヒを前に、完全に怒った表情を浮かべ、
 両手を思い切り広げ、ネスを守る盾となる。
 シェリルはディードリッヒを睨み付け、沸々と湧き出る怒りをぶつけた。

  「さっきから聞いてれば……酷いこと言い過ぎです!!
  けなされる人のことを考えないのですか?!
  貴方達だって、あんなこと言われたらムカつくでしょう?!!
  ネスが何も言わないのをいいことに、罵声を浴びせるなんて……最低ですよ!!!」

 シェリルの大声に静まり返る店内。息を荒くするシェリルに声を掛けたのはネスだった。

  「あー……シェリル……?とりあえず落ち着こう……。なっ?」

  「ネスは罵倒されたままでいいんですか?!
  ネスは何も悪い事してないのに……ッあんな風に言われる筋合いないじゃないですか!!」

  「ちょっ……落ち着けって……。シェリルが怒ってくれたからもう大丈夫だよ。
  ってことで……俺の盾みたいになってんの止めない?本来、立場逆だからさ……。」

  「ネスは私が守ります!!」

  「…………俺…………シェリルの護衛なんだけどな……。」

 怒りを全面に押し出すシェリルに、ネスは深い溜息を吐き、この自体を収拾すべく、
 獲物を狙う獰猛な獣の様な視線と殺意を放ち、
 ディードリッヒを含み、身構える冒険者達に言った。

  「俺がムカつくなら殺しにでも来ればいい。
  正々堂々だろうが、不意打ちだろうが……受けてたってやる。
  そのかわり……シェリルに指一本触れることは許さねぇ。
  もし、かすり傷でも付けようもんなら……って、言わなくても分かるよなぁ?」

 金色の瞳が鋭さを帯びる。冒険者達は完全に萎縮し、身を縮こまらせた。
 その瞳には、冒険者達はおろか、シェリルすら身震いを起こす。
 だが、威嚇し終えたネスは、シェリルを見るなりいつものにこやかな表情を作り、
 相変わらずの口調で言った。

  「さっ、これで安全だな。シェリル、冒険者登録するぞ。
  あっち紙とペンが置いてるから、さっさと書いてきな。」

 そう言って酒場の扉付近に設置してあるレジの真横を指差す。
 そこにはネスの言う通り、紙とペンが置いてあった。
 シェリルは両手を下ろし、ネスの顔を遠慮がちに見つめながら言う。

  「……この人は?」

 シェリルの指差す方向には、金切り声から回復したディードリッヒが大剣を構える姿があった。
 ネスはやれやれといった表情を浮かべ、シェリルに優しく言う。

  「シェリル、競争でもするか。」

  「?」

 意味の分からない言葉に、シェリルは小さく首を傾げた。

  「シェリルが紙を書き終える方が早いか、俺がこいつを倒す方が早いかの競争。
  負けたらジュース一本奢りな。」

 にんまりと笑うネスが楽しそうで、シェリルは怒っていた表情を和らげ、
 可愛らしい笑顔を見せる。こくりと小さく頷き、小走りでレジへと走って行った。
 ネスはディードリッヒを見、黒い笑みを浮かべて言った。

  「シェリルが紙書き終えるくらいはもてよ。張り合いがねぇのもつまらないからな。」

  「てめぇ……舐めくさりやがって……」

 ディードリッヒの顔が再び怒りで赤く染まる。そんなディードリッヒをネスは嘲笑って言った。

  「安心しろ、殺しはしねぇ。手加減くらいはしてやるさ。」

 その言葉に、ついに怒りの頂点を迎えたディードリッヒは、
 大剣を構えなおし、床を強く蹴り、ネスへと迫る。
 ネスは背に掛かる槍を右手で抜き、逃げることもせずディードリッヒの大剣を真っ向から受けた。
 激しい金属音がギルド内に響く。ディードリッヒはネスを後退させようと大剣を押す。
 だが、ネスはぴくりとも動かず、にやりと笑った。

  「押しが弱い。立派な武器持ってても、使いこなせなけりゃあ武器もお荷物だ。」

  「くそ……ッ!!」

 ディードリッヒはバックステップで数本下がり、間合いをとる。
 そしてもう一度床を強く蹴り、ネスへと迫った。

  「……馬鹿だな……。」

 ネスは小さく溜息を吐き、武器を斜め下に構え、腰を落とす。
 ディードリッヒはにやりと笑い、床を横に蹴り、進路を変えた。

  「馬鹿はてめぇだ!!」

 ディードリッヒは即座にネスの背後にまで周り込み、大剣を振り下ろす。だが―――…

  「……討ち取ったりぃ。」

 冗談の様な口調でそう言うと、低く構えた槍を体の回転と共に振り回す。

  「!!」

 ディードリッヒは大剣を止めた。止めざるを得なかった。
 振り回された槍は大男の首真横に張り付き、
 少しでも動けば真っ二つだと想像出来たからである。

  「足が曲がりますって宣言してたぜ。分かりやす過ぎ。
  ほら、シェリルがまだ紙書き終えてねぇんだよ、
  相手してやっから、かかって……こいっ!!」

 最後の言葉と共にディードリッヒの腹部を思い切り蹴り飛ばす。
 190cmある巨体は宙を巻い、壁に頭から突っ込んでいった。

  「さっさと立て。」

 ネスの容赦ない言葉に、大男は頭から血を流しながら立ち上がる。
 大剣を手に、大男は怒声を上げ、再びネスに切り掛かった―――…


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*Comment

 

さすが、シェリルっ\(*><*
鶴の一声といった感じでしょうかっ
素直さがまた可愛すぎる(´▽`~

ネス、さすがっ!!
カッコいいどころの騒ぎじゃないですよっ
優しい上に強くて~
守られてるシェリルが羨ましいです(^^
  • posted by 燈 青架 
  • URL 
  • 2009.11/17 21:38分 
  • [Edit]

燈様へ 

いらっしゃいませ!

こんばんわっ!
自分の命を救ってくれた恩人が罵倒されている現実が耐えれなくなったのか、
思い切り叫んじゃいました(笑)
ネス自身は全く気にしていないというのに(´゚д゚)

こういうとこでネスの株をあげちゃうとハクが可哀想な事になるよな……?
とか思いながらも、戦闘シーン書きたいが為に書いちゃいました(笑)
ネスの傍にいれば、大抵の惨事からは守ってくれそうですね……。
でも、シェリルはそれに甘えず頑張っていきそうな気がします(笑)
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.11/17 22:15分 
  • [Edit]

 

 ちわ~v( ̄∇ ̄)v
 あのネス…逆立場なんですけど…
 と思っていたら(/ー\*) イヤン♪ネス格好いいじゃありませんか。
 これよ、これっ(/(エ)\)キャー
 シェリル、ハグよりネスの方がいいって( ̄  ̄) (_ _)うんうん
  • posted by 蘭陵邑 
  • URL 
  • 2009.11/18 14:46分 
  • [Edit]

蘭陵邑様へ 

いらっしゃいませ!

こんばんわっ!
見事に立場逆になってしまってますね(笑)
ネスを馬鹿にされ、流石のシェリルも堪えられなかったのでしょう。
ネスはネスで何も言わないし(´゚д゚)

が、その鬱憤を晴らすかのように豪快に戦ってます(笑)
手加減なる言葉を知っているので、
ディードリッヒはなかなか気絶すらさせてもらえないのでしょう(´・ω・`)
ネスに愛をありがとうございます!
私もシェリルとネスがくっつけば一番いいのではないかと思ってますが、
残念ながらシェリルが凄く抵抗するんですよ~……
余程ハクに会いたい様です(*´д`)b
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.11/18 18:56分 
  • [Edit]

 

「ネスは私が守ります!!」
い、勇ましすぎなんだぜっ、ヒロインΣ(O_O;)!!!?

イッキ読み中なので、追いついてからコメしようと思うのですが…あいかわらず、ツボっちゃうと叫ばずにいられません(笑)
シャリルのうしろで困ってるネスの姿が目に浮かぶよう…( *´艸)( 艸`*)ププッ
  • posted by 卯月 朔 
  • URL 
  • 2009.11/19 20:47分 
  • [Edit]

卯月様へ 

いらっしゃいませ!

こんばんわっ!
シェリルはネスに守られる気など毛頭ないようですね★
ヒロインが強すぎなのも考えものですよ(汗)

ネスは多分、シェリルに庇われながら後ろで六回ぐらい
めちゃくちゃ深い溜息をついてそうです(笑)
ネスはもっともっと困ればいいと思ってる作者の思いがいっぱい詰まってます♪(ぇ?
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.11/19 21:51分 
  • [Edit]

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