冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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Battle Mermaid 17

 辺りは再び静寂に包まれた。響くのは力強いネスの足音だけ。
 シェリルはネスの腕に抱かれ、心配そうな表情でネスを見つめていた。

 アンデッドの群れに襲われ、ネスの槍とシェリルの魔法で事なきを得た二人は、
 休息を取る事無く家に急いだ。
 いつ、どの瞬間で襲われるか分からない今、一刻も早い森からの脱出を余儀なくされる。
 道中、単体で現れたアンデッドを数匹倒し、遂に森の出口を見つけた。

  「よし、後は浜辺だから多少なり安心だな。
  あの森みてぇにアンデッドが蔓延ってるって事はねぇ。見晴らしもいいしな。」

 抱き上げているシェリルに優しく微笑み言う。
 ネスに抱き上げられたままのシェリルは申し訳なさそうに何度も謝っていた。

  「本当にすみません……私が無茶したばかりにネスさんにまでご迷惑をお掛けして……」

  「はい、14回目~。」

  「あぅ……。」

 14回目の謝罪だった。ネスは苦笑し、シェリルに言う。

  「もうしなきゃいいんだ。
  それに、シェリルがあんなに強いんだったら、冒険者も……いいかなぁなんて考えた。」

  「え……?」

 強いからという理由もあったが、本当は、何を言っても聞かない子だと判断したからである。
 そんな事とはつゆ知らず、シェリルは嬉しそうに顔を綻ばせる。

  「本当に?本当に冒険者にさせてくれるんですか?」

  「ああ、ただし、俺も冒険者になる。」

  「え?」

 思いもよらないネスの発言に、シェリルはきょとんと表情を変えた。
 ネスは大丈夫だと笑いながら言う。

  「ハクとシェリルの恋を邪魔しようなんざ思ってねぇさ。
  ただ、ハクもハクで問題のある奴だからな……護衛って思ってくれりゃいいさ。」

  「……女だから、そういう風に守って下さるんですか?
  だとしたら、ネスさんは物凄くお人好しさんですよね?」

 シェリルの質問に、ネスは楽しそうに笑った。

  「お人好しかぁ……まぁ、こんなのんきな場所で暮らしてたら大らかにはなるわな。
  正直言うとな、シェリルの事が気に入っちまったんだよ。」

  「?」

  「シェリルみたいな女、初めて見たからさ。興味があるんだ。
  今まで見てきたどんな女より綺麗だし、岩場で……素っ裸で倒れてたのも不思議だし、
  俺の言う事ことごとく無視しやがるし、ぼろぼろになっても意思は強いし、
  自分が傷だらけなくせに俺の事気遣うし、すげぇ魔法使えるし……
  俺の中で、シェリルは色々と前代未聞な女なわけ。
  自分が満足するまで、見届けてみてぇんだよ。」

 楽しそうに話すネスをシェリルはただじっと見つめた。

  「シェリルがうぜぇって思ったらいつでも引くから言ってくれ。
  ただ、それまでは……ひっつかせといてくれよ。」

 優しげなネスの眼差しに、シェリルは思わず何度も頷いた。
 ネスは嬉しそうな表情を浮かべシェリルを見やる。

  「本当、変な女だな、シェリルって。」

  「そ……そうですか……?」

  「あぁ。……皇国の女なんてろくなもんじゃねぇぞ?
  我が儘だし、男は全部自分の思い通りになるって思ってやがる。」

  「そんな……男性にも意思はあるはずです。」

  「後はまぁ、金払う機械だって思ってる女もいる。」

  「人間は機械じゃありません。生き物です。」

  「……守ってもらって当たり前だ~って思ってる女も……」

  「自分の身は自分で守るのが基本です。最初から人に頼るもんじゃありません。」

 ネスの言葉に眉をひそめ、口を吐いて出ていった言葉達に、ネスは目を見開く。
 そして……

  「…………ぷっ」

 吹き出した。
 その吹き出しに反応したシェリルは、ネスを少しだけ睨み付ける。

  「なっ……何ですか?」

  「くくっ……す……すまねぇ、まぁ確かにそうなんだけどさ……。
  いやぁ、いいなシェリル。面白い。」

  「お、面白くないですよ!!」

  「そうやってすぐ反応するとこもいいなぁ~♪」

 完全にからかわれているシェリルは、膨れっ面を隠しもせずネスへと向けた。
 ネスはシェリルの膨れた頬を押し、空気を抜く。ぷ~っと音がしてシェリルの頬が元に戻った。

  「からかわないで下さい、ネスさん……」

 不服そうなシェリルの言葉に、ネスは小さく、あっと声を上げて言う。

  「その『さん』っての……止めねぇ?」

  「ぇ……?」

  「他人行儀っつーかさぁ……俺はシェリルって呼んでんのに、
  シェリルの方は『さん』付けってのは、なんだか気が引ける。呼び捨てで呼べよ。」

 冗談で言っているわけではない事は、真っ直ぐな金色の瞳を見据えれば、
 簡単に見て取れた。シェリルは柔らかく微笑み、こくりと頷く。

  「……分かりました。……ネス。」

  「よし、いい子だ。さぁ~って、家が見えたな。もう一眠りすっぞ!」

  「はいっ」

 月が傾き、空は白む。
 夜明けが近い中、くたくたの二人は家へと入り、束の間の休息を得た―――…


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*Comment

 

14回とかかわいいwww
  • posted by そのちー 
  • URL 
  • 2009.10/31 23:13分 
  • [Edit]

ネスゥウ以下略! 

告白かっ、プロポーズかっっっ( ´∀`)σ)д`)コイツゥ~❤

しかしそれでも揺るがぬハクへの想いっ! ハクとのファーストコンタクトが、シェリルにとっていかに衝撃的・運命的だったのか偲ばれますねっ(●´∀`人´∀`●)

でもネスは呼び捨てになって親密度UP↑↑↑
ううー、どうなるどうなるっドキドキ(゚∀゚*)(*゚∀゚)ドキドキ

(そういえば『薄桜鬼』プレイなさったのですね! 卯月も、一周目は左之さんにメロメロでした❤ 槍使いラブ❤ 小説と無関係なことコメしちゃってすみません;;)
  • posted by 卯月 朔 
  • URL 
  • 2009.10/31 23:36分 
  • [Edit]

お仲間♪(・∀・)人(・∀・) 

これでシェリルに仲間が増えたのですね♪

いやしかし、ネスったらもうッ!!
どさくさ?まぎれに告白しちゃうんですからぁ♪
…まぁ、今までそういう女の人ばかりを見てきたのなら、シェリルに惚れるのも分かりますよ、えぇ(ノ´∀`*)

肝心のハクはいつ出てくるのか分かりませんが、それまでしっかりとシェリルちゃんを引き寄せるんだぞ、ネス!←(既にネス応援派に回ってますw)
  • posted by 鷹の爪痕 
  • URL 
  • 2009.11/01 00:02分 
  • [Edit]

そのちー様へ 

いらっしゃいませ!

14回も謝罪されたら、
もういいってば……ってなっちゃいますよね(笑)
口を開けば『ごめんなさい』ですよ。
多分、ネスもかなり呆れ気味かと思われます(*´д`)b
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.11/01 00:13分 
  • [Edit]

卯月様へ 

いらっしゃいませ!

ネス、さりげなく告白してるのに、
ハクとシェリルの恋を応援しようなんざ、矛盾し過ぎてます(笑)
まぁ、告白しても……
「私、ハクさんが好きなんです……。」
で終わりそうですけどね!!

呼び捨てで呼べ!!なんて、ネスもよく言っちゃってくれたもんです(笑)
けど、会話は敬語なんで、あんまり意味もない気が……。
はてさて、本当に二人の行く末はどうなってしまうのでしょうね……。

薄桜鬼プレイしましたよーッ!!
PSP版ですけどね(*´д`)
左之さん、メロメロです!超カッコ良かったんですけど!!
どうしよう!!
この気持ちを原稿用紙五枚くらいにまとめて卯月様に送り付けたい!!(ヤメロ!!
何はともあれ、面白いゲームを教えて下さって有難うございました!
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.11/01 00:19分 
  • [Edit]

鷹の爪痕様へ 

いらっしゃいませ!

ハクがちんたらしてる間に、ネス応援派が多くなってきている気が……ッ。
そりゃそうですよね……序章以降全く欠片も出てませんもんね!!
でも、次週はハクのターンですよ!!
シェリルとの絡みは一切ないですけどね!!(泣)

皇国の女共は、ネスの知る限りでは腐ってるらしいです(笑)
余程女運がなかったのでしょうね……。
いい女もいるんだよ……って教えてあげて下さい……(´っω;`)
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.11/01 00:23分 
  • [Edit]

 

14回もあやまってらっしゃったのですかw

シュリル、謝りすぎだよ~v

またそんなところが可愛いですb
  • posted by ネミエル 
  • URL 
  • 2009.11/01 00:35分 
  • [Edit]

ネミエル様へ 

いらっしゃいませ!

シェリル超謝ってます(笑)
ネスが何か言う度に、ごめんなさいだったのでしょう(*´д`)
そこまで謝られたら、許さざるを得ないって感じでしょうね!
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.11/01 11:17分 
  • [Edit]

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