冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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Battle Mermaid 序章 03

  『グァルルルル……』

  『ギィイイッ……イイイイ……』

  『ガァァアゥアアアア……』

  『グルル……ゥゥウウウウウ……』


 雨が降る。少しずつ少しずつその雨は強さを増した。
 そんな中、甲板に響く複数の不気味な声。船員達の顔が思わず引き攣った。
 船に灰色の錆びた様な手が掛かる。
 『それら』はゆっくりと甲板に這い上り、腐れた体を露わにしていった。
 見紛う事もない、アンデッドだった。

 アンデッドは数にして十匹。対して、船員の数は七人。
 完璧に潰してしまわなければ何度も復活するアンデッドを複数前にし、
 船員達の顔からは血の気が引く。
 一人の船員が、別の船員に叫んだ。

  「火炎放射気持ってこい!!」

 だが、頼まれた船員は小さく首を振る。

  「この雨の中じゃ使えねぇ……こりゃあ……万事休すってやつだ……。」

  「馬鹿!諦めんな!!船内には客がいるんだぞ!!」

 そう言った男の言葉に、がたいのよい船員が反応を返す。
 そして、一か八かの賭けに出ようと決心を決めた。

  「船内に一人……冒険者がいる……。」

  『何ッ?!』

  「ハクって男だ。そいつを呼んで来れば、もしかしたら……」

 船員達の絶望に打ちひしがれた瞳が少しだけ光を帯びる。
 皆、口々にその冒険者を呼んで来いと、言い出した船員を急かした。
 がたいのよい船員は急いで船内へ通じる扉を開ける。と、その瞬間―――…

  「うわっ?!」

  「おっと……すまねぇ、大丈夫か?最高に臭い臭いがしたんで来てみたんだが……
  どうやら正解だったみてぇだな。」

 船員は扉を開けた途端、
 突然現れたハクを前にぶつかりそうになり、体をよろけさせた。
 ハクは船員の体を支え、にやりと笑う。

  「後は俺に任せな。」

 それだけ言うと、船員から手を離し、腰に吊るすふたつの剣を手に取る。
 右に朱色の剣を、左に紺色の剣を持ち、甲板へと出た。

 ハクの登場に、船員達は目を疑った。
 どんな屈強な男なのか、どんな恐持ての顔をしているのか、どんな―――…
 それぞれの思惑を完全に外した容姿だったのであろう。
 船員達は思わずハクに言う。

  「に……兄ちゃんが冒険者かい……?
  止めときな!そんな綺麗な顔に傷でも付いたら……俺らは責任取れねぇぜ!」

  「そうだそうだ、それに……どう見ても20代前半だろ?死にに急ぐもんじゃねぇ。」

  「うむ……それにお前は……失礼だが、力も無さそうだ。
  見るからに殺られそうな男を戦わせるわけにはいかねぇよ。」

  「大丈夫だ、船内には絶対に入れないから!」

 散々な言われ様に、ハクは小さな溜息を漏らし、船員達をぐるりと見渡す。
 降りしきる雨を全身に浴びながら、不敵な笑みを浮かべた。

  「気にしなくていい。あんたらはあんたらの仕事を全うしてくれ。
  あんたらの邪魔にはならない……俺は俺の仕事を全うするだけだ。冒険者としてな。」

 妖艶ともとれるその笑みに、船員達は一瞬息を呑んだ。
 が、その瞬間、即座に我に返る破目になる。

  『グルルル……ガアアアアアアァァァアッ!!』

 甲板に響き渡るアンデッドの叫び声。
 その叫び声が引き金となったのか、
 我が身を甲板にぶちまけながら、アンデッド達はハクと船員達に向かって一気に襲い掛かった。

  「来るぞっ!」

  「くそ……ッ!兄ちゃん、危なくなったら逃げろよ!!」

  「無理して戦う必要ねぇんだからな!!」

 船員達の険しい顔と、心配する様な声に、ハクは無表情で言う。

  「どうも。」

 自分の持つ剣を交互に確認し、ゆっくりと瞳を閉じ全ての意識をその剣に集中させる。

  (朱は火に……紺は氷に……さぁ ―――… 燃えろ。さぁ、凍れ ―――…)

 ハクが目を開けたその瞬間、
 朱色の剣は降りしきる雨にも係わらず、高らかに炎を上げ、
 紺色の剣は炎の剣の真横にも係わらず、ぴきぴきと音を立てて凍っていく。

  「さて……お相手願おうか、アンデッド諸君。」

 にやりと笑みを浮かべたハクは床を強く蹴り、
 船員達に襲い掛かろうとするアンデットへ向かい跳んだ―――…


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*Comment

 

魔法剣的なっΣヽ(゚Д゚○)ノ!!?

いやでもどう考えてもカッコイイぞハク!! 船員さんたちは心配してるけど、最高だよ銀髪っ!!(無関係)
――と、卯月は異常なテンションで燃え燃えしておりますよ筱さまぁあああっ❤
アンデッドにも慣れました❤(Σ早っ)

次回、ハクがどれほどの強さを見せつけてくれるのか…わくわく☆

そして人魚はいつ――…楽しみにお待ちしております(´∀`人)笑。

  • posted by 卯月 朔 
  • URL 
  • 2009.10/13 19:56分 
  • [Edit]

卯月様へ 

いらっしゃいませ!

そうです!魔法剣ですよ!!しかもふたつッ!!!
ハクはもう、第二の主人公ですから!
そりゃあカッコよくいてもらわなきゃ困るってもんですよ(*´д`*)b
銀髪だしねッ★(無関係)

いやはや、
卯月様のハイテンションにはついつい私もつられてしまいます!(笑)
って、アンデッド慣れるの早ッ!!
んもう、この調子だと、
卯月様がグァンデル世界救っちゃうんじゃ……(汗)

ハク……ハクは超強いッスよぉ~……。
ん?人魚とかいう単語が見えた気が……あ、気のせいか★
続き、頑張りま~す(*゚д゚)
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.10/13 20:24分 
  • [Edit]

 

ハク・・・

強そうだよ、ハク。

なんでそんなに存在感抜群なんだよ、ハク。

そういえば、
海音ちゃんは消えてしまったのでしょうかorz

僕、あのこ大好きだったのに
  • posted by ネミエル 
  • URL 
  • 2009.10/13 21:46分 
  • [Edit]

うんうん!! 

やっぱり美形でケンカ?も強い!!
これは外せませんよねッ(*^ー゚)b グッジョブ!!

もう第二の主人公だろうが、脇役だろうが、美形は入れねばなりませんッ(笑)

しかし…それだけの臭いを放つとは……
アンデッドめ……嗅覚をも麻痺させようという計画か…←違うって ッテナンデヤネン┌(`Д´)ノ)゚∀゚ )

しかし臨場感タップリの書き方…さすが筱さまです♪
戦闘シーンを書けない私は羨ましい限りです…(´・ω・`)
  • posted by 鷹の爪痕 
  • URL 
  • 2009.10/14 01:45分 
  • [Edit]

 

船員達諦めんなよぉぉぉおおおおおおお(by松岡修三

【船員達の険しい顔と、心配する様な声に、ハクは無表情で言う。

  「どうも。」】

かっくいいww

きっと、もうバッサバッサやっちゃうんでしょうねwww
  • posted by そのちー 
  • URL 
  • 2009.10/14 02:01分 
  • [Edit]

ネミエル様へ 

いらっしゃいませ!

ハクの存在感ですか……多分今だけです♪
後に出てくるキャラに比べたら……。
きっとハクの存在などかき消されてしまうことでしょう(笑)

全ての記事を非表示にしてしまったので、
海音ちゃんも消えてしまいましたね(汗)
はわゎ……好いていてくださっていたのに、
本当に申し訳ないです(´っω;`)
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.10/14 05:34分 
  • [Edit]

鷹の爪痕様へ 

いらっしゃいませ!

美形外せませんよね!!
ほぼ完璧といえる程の美形を苦しめるのが大好きです!!(ぇ?

肉が腐っちゃってますからね、
そりゃあ凄い臭いだと思いますよ♪
ハクは嗅覚が良いので、少しの臭いでも感じ取れます!

ふふふ……鷹の爪痕様は一人突っ込みがお上手でいらっしゃる!
ですが一人というのも寂しいでしょう……さぁ、この子を上げましょう。

 『グルアァァアァァァァ……』

あっ、ミ……ミンチにしちゃダメですってば(汗)

戦闘シーンと愛を語るシーンはどうにも苦手なのですが、
そう言って頂けるととても嬉しいです!
画面の前で小躍りしてる自分がいますよ!!
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.10/14 05:45分 
  • [Edit]

そのちー様へ 

いらっしゃいませ!

この世界では船員さん達も強くなければやっていけないですからね!
筋肉隆々の男達が甲板で武器持ってる様って……
すっごい暑苦しそうですね……。

ハクはクールキャラですから、今の所カッコいいかもしれません!
敵もバッサバッサ切り倒して『弱ぇんだよ』とか言ってそうですが、
話しを繰り広げていくごとに
性格も崩壊していくことでしょう……ふふふ。
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.10/14 05:49分 
  • [Edit]

 

ハク…カッコえぇ(´▽`)はぁぁ・・♪(うっとり)

やっぱり主人公は強くなくちゃですね(o^-')b
…それに比べてウチのジンときたら…(´;ェ;`)ウゥ

今度ハクの爪の垢を彼に飲ませてやって下さい><
  • posted by rum_bulion 
  • URL 
  • 2009.10/15 18:21分 
  • [Edit]

rum様へ 

いらっしゃいませ!

ハクは第二の主人公ですからね!
カッコよくいてくれなければ困るのですよ~♪
カッコいい奴をいじめるのもまた、楽しみのひとつですし(ぇ?

rumさんの所は登場人物が多いですからね!
きっとジンが目立たなくてもやっていけ……げふっげふっ……
す、すみません、器官にパーム・ボムが……げふっ……。

ハクが爪の垢を煎じさせてくれるか分かりませんが、
こっそり奪ってきときますね★
  • posted by 筱 
  • URL 
  • 2009.10/15 19:12分 
  • [Edit]

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