冬鳥の詩

+ 夢と妄想で綴るお話 …

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+ 幸福ナ家庭 + 始めに +

 + 幸福ナ家庭 +  何処にでもある平凡な家庭。  父、母、兄、妹……  他愛もない会話で笑い、怒り、泣ける家族。  だが、幸せだったはずの家族が、ある日を境に壊れ始めた―――… + * + * + * + * + * + * +  も く じ  + * + * + * + * + * + * +  01 + 02 + 03 + 04 + 05 + 06 + 07 - 完 -...

幸福ナ家庭 01

  「面会だ。出ろ。」 カシャンッと冷たい金属音が鳴り響く。 手錠をはめられ、重たい鉄の格子戸が鈍い音を立てて開いた。 俺は虚ろな視線を看守へ向け、無気力に立ち上がる。 看守は手錠からぶら下がる鎖を引き、俺を面会室へと連れて行った。 しばらく歩き、看守はぴたりと足を止める。 眼前にある白い簡素な扉を開け、俺を部屋へと押し込んだ。 よろけながらも体制を整え、地面に伏せるのを回避する。 小さく溜息を吐...

幸福ナ家庭 02

 卒業式は滞りなく進んだ。 女子と一部の男子の啜り泣く声が聞こえる。 どこに感動するのか分からないが、こういう時に泣いてないと、 何だか悪い気がするのは俺だけだろうか……。 式も終わり、友人達と写真も撮り終え、ぼんやりと三年間学んだ教室を見やる。 いざ卒業だと考えると、感慨深いものだ。女子も男子も、友人達との別れを惜しみ、語り合う。 不意に数人の女子が俺を囲った。  「……?」 俺は女子の顔を見ながら...

幸福ナ家庭 03

 ―――… 正直、父さんが死んだなんて実感、全然なかった。 けど、病院で父さんの指ひとつ動かない姿を見た瞬間、実感した。 『もう、いないんだ』って。  「父さん……」 俺の小さな声は泣きわめく凪と、父さんの名を呼び続ける母さんの声に消された。 二人の悲嘆にくれた姿を前に、俺は固い決意を決めた。 受かっていた大学を取りやめ、就職することを。支えなきゃならない。 残された家族を……凪は小さい、母さんはしばらく...

幸福ナ家庭 04

 病院に着くまで、啜り泣く母さんを心配してか、救急隊の人達が優しく声を掛けてくれた。 そのおかげか、母さんもだいぶ落ち着きを取り戻し、病院に着いた時には泣く事を止め、 タンカーで運ばれる凪の傍にずっと寄り添っている。 そんな光景を見ていると、救急隊の一人が声を掛けてきた。  「お兄さん、大丈夫ですか?」  「……あまり。」  「……ですよね、無神経な事を聞いてしまってすみません。」  「いえ。あ、母親...

幸福ナ家庭 05

 凪が退院して数日。我が家はいつも通りの日々を過ごしていた。  「おにーちゃんッ!!卵焼き作ってーっ!」  「はいはい。」 元気に回復した凪は前にも増して笑うようになった。 ちょっと不自然にすら感じる笑顔だが、 家の中が暗くならずに済むのは凪のおかげなのだとつくづく思う。  「……お兄ちゃん……それ、卵焼きじゃなくて、スクランブルエッグ……だね……」  「……はっ…………」  「はっじゃない!も~ッ!!朝の忙し...

幸福ナ家庭 06

 ―――… 全て話し終えた俺はゆっくりと結衣へと視線をやった。 ぼろぼろと涙を流す結衣にかけてやる言葉が無かった。 ……俺だってどうしたらいいのかが分からないのに、気休めの言葉なんて言えない。  「穂……ッごめ……ごめんね……  そんな大変な時に、一度も会いに行けなくて……ひっく……」  「結衣……結衣が気にする事じゃないよ。そう……気にする事じゃないんだ……」 結衣の涙につられ、俺の瞳からも涙が溢れた。 今まで我慢し...

幸福ナ家庭 07

 二の句が継げないとは、まさにこのことだった。 どう返答したらいいのか……何が正解なのか……もう分からない。 ただ、え?って……何度も言ってた気がするけど、それすらもうろ覚え。 ごっつい警察官はここじゃあれだからと、俺と結衣を連れ出し、 外にあるベンチに座らせ、ホットコーヒーを奢ってくれた。 そして、言い辛そうな顔をし、でも俺をしっかりと見つめて話し始めた。  「何から言っていいのか……信じてくれるかも分...

+ 幸福ナ家庭 + あとがき +

 + 幸福ナ家庭 +  + あとがき +   リニューアル後、初の短編小説。   しかもバッドエンドなのかハッピーエンドなのか、微妙に分からないという中途半端さ。   タイトルが『幸福ナ家庭』にも係わらず、幸福そうなシーンはほんの一欠けら。   作者の神経が疑われます。ハイ、スミマセン。   全ては父親の死から崩れていったお話となっております。   母親が精神的ショックを受け、壊れていっちゃいました。  ...

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Author:筱
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管理人の筱 - シノ - と申します。

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『Battle Mermaid』

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